10月 06 2017
「同時廃止」の基準が変更されます
平成30年1月1日から、名古屋地方裁判所の管内では、自己破産の「同時廃止」基準が一部変更されます。(これは裏から言うと、「管財事件」の基準変更でもあります。)
従来のルールの一つが、「保険」「株式」など個別の財産ジャンルごとに見て、その換価価値が「30万円以上となる財産ジャンルがある場合は管財事件とする」というものでしたが、この基準額が「30万円」から「20万円」に引き下げられます。
つまり、「解約すると20万円の返戻金がある保険」のみを有している方は、従来であれば同時廃止の基準内だったところ、今後は管財事件になるという様に、従来よりも管財事件の適用範囲が広がることになります。
一方、財産の「総額」が40万円以上の場合には管財事件とする、という従来の財産総額ルールは撤廃されます。
これにより、財産ジャンルごとの換価価値が20万円を下回っていれば、財産総額が40万円を超えているケースであっても、基本的には同時廃止の基準内ということになります。
(ただ財産状態に不明瞭な点があると判断された場合、調査のために管財事件となるのは従来ルール通りです)
また、「普通現金」「預金」の両ジャンルは合算して考慮することとなり、合計して50万円以上の場合に管財事件とする、という扱いになります。
これにより、「40万円の普通預金」を有している方は、従来であれば管財事件となっていたところ、手持ち現金との合計が50万円に満たなければ、同時廃止の基準内ということになります。
このように今回の基準変更は、局面によって同時廃止となる範囲が広くなる場合、狭くなる場合があります。
「同時廃止で済むかどうか」は、ご本人様にとっても大きな問題ですから、当事務所としても、可能な限り同時廃止基準内での破産申立となるように段取りを立てていきますが、案件の内容によっては、最初から管財事件を前提とした準備をすることが適切なケースもあります。
ここで無理に同時廃止基準をクリアしようとして不正な財産処分などを行ってしまうと、裁判所に悪質なケースと判断されて結局は管財事件となり、むしろ厳しい調査を受けるという展開にもなりかねません。
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くれぐれもネット情報などを根拠に独自判断をせず、早い段階で弁護士のアドバイスを受けてくださいね。
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