7月
19
2018
現在進行中の相続案件でも当てはまることですが、ご親族が亡くなった時点で、もし遺産分割協議を実施しづらい事情があったとしても、そのまま長期間放っておくと、余計に事態が複雑化してしまうことがあります。
例えば「遺産分割の方法が折り合わない」「相続人の一部が音信不通」「連絡先が分からない」といった事情があるため、遺産分割協議を先送りにしていると、やがて相続人の一部が死亡して、さらに相続が起きるという事態となります。
子の代から、孫の代、曾孫の代へと、相続人が進むということです。
こうした展開になると、時間の経過によって相続人がどんどん増え、さらに相続人の居住地域が遠方に散らばっていくため、遺産分割協議を成立させることが、さらに困難となってしまうのです。
遺産が「預金」や「株式」だけならば、遺産分割協議が成立しないままでも大きな不都合はないかもしれませんが、遺産に「不動産」が含まれているケースでは、固定資産税が毎年発生する上、誰かが取得して管理をしなければ、老朽化・荒廃化して近隣に迷惑をかけることもあるでしょう。
遺産に不動産が含まれている場合、仮に遺産分割協議を進めづらい事情があったとしても、永遠にそのままにはしておけないのです。
相続人当事者間では、もはや適正な協議が進められないケースであっても、弁護士が代理人として交渉を進めたり、裁判所の調停・審判手続を利用することによって、最終的には適正な解決を実現できることが大半です。
相続人の中に、音信不通の方、連絡先が分からない方がいる場合でも、弁護士が住所を調査してお手紙を送り、その方のご意向を確認することもできます。
相続の問題でお困りの方を、弁護士はお手伝いできます。
ご事情を詳しくお聞きして、解決方法のご提案を差し上げますから、あまり相続関係が複雑化してしまう前に、一度ご相談いただきたいと思っています。
7月
14
2018
相続・遺産分割の案件で、遺産である不動産を確認するため、豊橋方面まで出張してきました。
相続が起こった場合、遺産の分け方としては、「現物分割」「価額分割」「代償分割」といった種類が考えられます。
<現物分割>
これは遺産を構成する個々の財産を、そのまま各相続人に配分する方法です。例えば、土地建物は長男に、預金は二男に、といった形です。
<価額分割>
遺産を金銭に換価して分割する方法です。
<代償分割>
遺産の現物は特定の相続人が取得し、現物を取得しなかった他の相続人に対してお金を払うという方法です。
代表的な、よく見かける遺産の分け方としてはこの3つです。
遺産の種類や相続人の希望、その他の事情も勘案して、どの分け方が適しているかを考えることになります。
今回は、この不動産以外に遺産がなく、またこの不動産を欲しがる相続人が誰もいないため、
不動産を売却し、経費を差し引いて残った売買代金を相続人皆で分けるという、
価額分割の方法で解決する予定です。
不動産の売却は、どうしてもある程度の時間は必要です。
最終的にいくらで売れるのかも気になりますが、ともかく馴染みの不動産屋さんと、今後の進め方を調整しました。
高く売れて、相続人の皆さんに多くのお金を分割できるといいなと思っています。
5月
29
2018
遺産分割協議の前段階で、「相続分の譲渡」という手法を用いることがあり、ここのところ類似案件が同時進行していましたが、無事に全て譲渡合意が成立しました。
例えば、法定相続人が【A】【B】【C】と3人いる場合に、Cの持っている相続分を、Aに譲渡してもらいたいという交渉を試みます。
相続分の譲渡・譲受が適正に成立すると、譲渡人Cは相続分が無い状態になるため、Aは残ったBだけを相手にして遺産分割協議を進めればよい状態となるわけです。
こうした手法を検討する典型事例としては、相続人の中に異母(異父)兄弟がいるというケースが考えられます。
「親の残した不動産について名義を変更したいが、戸籍を調査した結果、異母(異父)兄弟の存在が判明した」というケースでは、こちらの親族だけで有効な遺産分割協議を行い、不動産の名義を変更するということができません。
とはいえ、会ったこともない異母(異父)兄弟との間で、腹を割った話し合いができるのかは不安であり、とはいえ裁判所に遺産分割調停を起こすような大事にもしたくない、という場合、弁護士が代理人となって、異母(異父)兄弟に「相続分の譲渡」をお願いしてみるという方法があります。
相手の考え方にもよりますが、こうした疎遠な関係の親族については、相続人としての権利を強く主張してこないケースもあるため、若干の「お礼金」「ハンコ代」を支払うことで、「相続分譲渡」の書面に実印をついてもらえる可能性もあります。
交渉に成功すれば、時間のかかる遺産分割調停などを実施することなく、きわめて短期間かつ低コストでの遺産分割が実現できる場合もあるのです。
もちろん、相手が相続人としての権利を主張してきた場合には、原則通り遺産分割協議や遺産分割調停の実施が必要となりますが、事前にこうした交渉を試みる価値も、十分にあると思います。
実際のご事情に応じて、具体的な進め方を提案させていただきます。
なお、こうした局面では相手に「相続放棄」をお願いするという選択肢もありますが、相続放棄は、原則的に「相続開始を知った時から3か月以内」という期間制限があります。
また相続放棄の場合、当方と対立関係にある相続人の法定相続分まで増加してしまう結果となりますから、可能であれば相続分を直接譲り受けた方が、その後の遺産分割協議において一般的には有利といえます。
こちらも案件に応じて、適切な方式をアドバイスさせていただきます。
相続人の人数が非常に多いケースや、疎遠な関係の相続人がいるケースなど、遺産分割協議に不安のある方は、まずはお早目にご相談ください。
12月
21
2016
最高裁の従来の判例を変更して「預貯金が遺産分割対象になる」と判断しました。
一般の方の感覚からすると、「そんなことは当然ではないのか?」と思われるかもしれません。
これは相続人の方々が、円満な話し合いで遺産分割協議を成立させる場合には、問題にならない論点です。遺産分割協議がうまくいかず、遺産分割が家庭裁判所の「調停」や「審判」に持ち込まれた場合には、この論点について対処する必要がありました。
これまで最高裁は、預貯金は法定相続分に応じて当然分割され、遺産分割の対象にならないという考え方をしていました。
このため、亡くなった方名義の預金がある場合、調停や審判において、相続人全員で「預金も遺産に含める」という合意をした上で、遺産全体の分割内容を定めるという解決方法が用いられてきました。たとえ他の相続人と意見や希望が折り合わず、調停や審判になっていたとしても、最低限この部分だけは協力して、預金も含めた全体的な解決を図ってきたのです。
しかし、相続人間の見解があまりにも対立し、そうした最低限の合意すら成り立たない場合はどうでしょうか? この場合、旧来の立場からは預金について家庭裁判所での解決が不可能ですから、亡くなった方名義の預金は、個々の相続人が自分で銀行から払い戻しを受ける(実際には、裁判を起こして銀行に預金払戻を請求する)ほかはありませんでした。
こうした考え方も、もちろん不都合ばかりではないのですが、今回の判例変更によって、遺産分割紛争全体の見通しは、より立てやすくなったと言えるでしょう。
当事務所でお手伝いが進行中の相続案件も、今回の判例変更に影響を受けることになります。
あらためて今後の進め方をよくご説明しながら、進めていきたいと思います。
6月
20
2013
いまさらな話題ではありますが、今年1月1日から、復興特別所得税が徴収されるようになっています。東日本大震災からの復興に向けた財源確保のための復興財源確保法によるものです。これは所得税に併せて課税されるもので、源泉徴収の場面でも適用があります。
当事務所では、相続税や贈与税など税金に関係する業務は、基本的に顧問税理士の先生と相談しながら進めているので、弁護士業務に税の問題が直接関わってくることはあまりないのですが、源泉徴収については、弁護士が源泉徴収をする側・源泉徴収される側になることもあるため、当事務所の平常業務も少しだけ影響を受けた部分がありました。
例えば、会社様からご依頼を受けて業務を行い、弁護士報酬の請求書を発行する場合、クライアント様に源泉徴収をお願いしていますが、今回の措置法によって、従来所得税だけを源泉徴収していただいていたものに復興特別所得税が加算されたため、源泉徴収していただく金額についても変更のお願いをすることになりました。
また、弁護士が交通事故の損害賠償請求の依頼を受けた際、依頼者が保険の「弁護士費用特約」を利用されることが最近多くなりましたが、この特約によって損害保険会社から支払われる弁護士費用も、従来より多く源泉徴収されることになります。
事務所内の業務としても、従業員給与の源泉徴収額に復興特別所得税が加算されるようになったので、従前とは算定方式が変わっています(この部分は、一般的なサラリーマンの方も影響を受けている部分かと思います)。
このように、比較的広い場面で、微妙な影響のある法施行です。最近は計算処理にも慣れましたが、間違いがないように、その都度確認しながら進めないといけませんね。
早期復興のため、有益に活用してほしいと願っています。
6月
18
2013
名古屋駅前公証役場で、公正証書遺言の作成に立ち会ってきました。
私が普段扱っている業務には、依頼者の生活に起きた大きな事件に関わるものが多いですが、「遺言」の案件は、現時点ではトラブルが現実化しているわけではないことが一般的ですから、普段の弁護士業務における交渉や裁判とは少し違った雰囲気があります。
とはいえ、ご本人が「自らの居なくなった時」のことを深く考え、身近な方々への言葉を残すという行為には、独特の重みがあるものだと、遺言作成の際にはいつも感じます。
公正証書遺言を作成する場合、「公証人に遺言者ご本人の希望される内容を伝え、公証人に遺言の文案を作成してもらう」という場合もありますが、「弁護士の側で依頼者のご希望を聴取して、ある程度まとまった形の遺言文案を用意してから、公証人と相談しつつ法的に最も適切な表現となるように調整していく」という場合もあります。
案件の性質やご本人の希望される内容にもよりますが、当事務所に遺言作成をご依頼された場合、ご本人のお気持ちが的確に表現されるよう、弁護士が公証人と具体的な文言についても十分相談しながら進めてまいりますから、ご本人がそのまま公証役場に行かれて遺言作成を相談されるよりも、よりご希望に沿った形の遺言が作成できるのではないかと思っています。
また、公正証書遺言を作成する場合、2名の証人が、遺言作成に立ち会い、署名押印することが必要となります。
遺言に利害関係を有している親族などが証人になることはできないため、証人のあてがない場合には、公証役場が第三者的な方を証人として手配してくださることもあるようですが、当事務所でこれまで作成した公正証書遺言では、ご相談・ご依頼を受けた担当弁護士が、そのまま遺言の証人になってきました。
そうした点でも、よりスムーズに遺言作成を進めることが可能となるほか、「遺言作成の当日、知らない人が、自分の遺言の証人として隣に座っている」という状況にもなりませんので、より安心していただけるかと思います。
「遺言」というと、何か難しい大事のように感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、後でお気持ちが変わられた場合、何度でも書き直しが可能なものです。
ご希望内容をおっしゃっていただければ、弁護士が公証人と相談しつつ、法的に適切な表現となるように具体的な遺言作成を万事お手伝いしますから、何も難しいことはありません。
後々の不毛なトラブルを未然に防ぐという観点、ご本人の率直なお気持ちを残しておくという点で、とても有益なものですから、まずは弁護士にご相談くださいね。
6月
05
2013
今日は午前中から、打ち合わせや法律相談が詰まっていて、ようやく終わったところです。
お客様からの差し入れをいただきながら、一息入れています。
当事務所では、「弁護士に相談するのは始めて」という方からのお悩み・ご相談が多いですが、名古屋駅前で法律事務所を始めてもう7年目になりますから、以前の依頼者からの再ご依頼や、ご紹介の案件も増えてきました。
弁護士があふれている昨今、もう一度お声を掛けていただけることや、お知り合いがお困りの時、「あそこに相談してみたら」と当事務所を思い出していただけることは、本当にありがたく思います。
もちろん当事務所にて、「ご紹介の有無」「以前のご依頼の関係かどうか」で何か特典を設けている訳ではなく、どのような経緯でお引き受けすることになった案件も一から対応させていただきますが、気持ちの面では、懐かしさや嬉しさを覚えることも事実です。
ご紹介の案件であっても、その事をおっしゃらずに法律相談を申し込まれる方もおられますが、差し支えなければ、当事務所へご相談になった経緯などについても、今回お困りの内容とともに、法律相談にてお聞かせくださいね。
5月
16
2013
成年後見人がついた方(成年被後見人)について選挙権を失う旨定めている、現行の公職選挙法が改正される見通しとのことです。
成年後見という制度がイメージしづらい方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば高齢による認知症や、精神上の障害などによって、自ら物事を判断する能力が不十分である方を想定してみてください。こうした場合、入院・リハビリ等の申込や、費用の支払などについて、ご本人には適切な判断・対処が難しい場合が多いですから、実際にはご親族の方が、代わってこれらの諸手続を行っていることも多いかと思います。
しかし、場合によってはご本人について、遺産分割協議や相続放棄、訴訟などが必要になってくることがあります。このような行為は、他の方が代行することはできませんが、成年後見人が選任されていれば、成年後見人は裁判所の監督のもとで、ご本人の利益のために、ご本人に代わって有効な法律行為をなしうるのです。
また、ご本人の資産は成年後見人が管理しますから、例えば、認知症の進行しているご両親について、詐欺的な投資被害や、一部の親族による財産の不正利用などを未然に防ぐことも可能となります。
今回の報道では、成年後見開始とともに、ご本人の選挙権までが失われてしまうという現行法の状況が取り上げられていますが、成年後見制度の元来の趣旨は、このようにご本人の財産管理や法律行為を適正にサポートすることにあります。
当事務所では、成年後見人の申立(成年後見開始の申立)についても、弁護士によるお手伝いが可能です。
成年後見制度には、ご本人の状況に応じて、後見・保佐・補助と3種類があり、ご本人の判断能力が十分あるうちに選んでおく任意後見人という制度もあります。具体的に必要となる諸費用、裁判所に提出する書類の内容など、不明点やご心配な点もあるかと思いますので、まず弁護士にご相談下さい。
4月
13
2013
今日は午前中に債務整理・過払い金の土曜相談を実施して、午後から相続・遺言関係の案件を集中的に検討しました。
法律の条文と、判例の判断と、実務の取扱いは、基本的には一貫した方向性で形成されているはずですが、実際の個別具体的な案件では、結局どう解すべきなのか、必ずしも明白でなく、悩ましい判断を迫られる場合があります。
これは相続・遺言の問題に限ったことではなく、債務整理・過払い金の問題を含め、法的な問題全般において言えることです。
一般の方からすると、「どうしてそんな分かりにくいことになるのか」という感想をお持ちになるかと思いますが、やはり個別の問題ごとに特殊性があり、杓子定規に法律をあてはめるだけでは、適切な解決につながらない場合があるということでしょう。
今日も判例や書籍をあたって色々と考えていくうちに、私なりの解決やご提案の方針が固まってきたように思います。
様々な考え方があることを前提としつつも、当事務所として考える最善の道筋をご提案したいと思いますので、疑問や心配について、まずは率直におっしゃっていただきたいと思います。