6月 19 2013
成年後見人の指定方法は?(誰が成年後見人になるか)
「誰を成年後見人に選任するか」を決めるのは、裁判所です。
後見開始の申立をする方は、成年後見人の候補者として、自分自身を含めた特定の人物を推薦することができます。しかし推薦した希望通りになるかどうかは、諸事情を考慮して最終的には裁判所が決定することとなります。
このように、成年後見人が誰になるかは事前に確定することはできず、ご家族の立場からすると、少し不便に感じることもあるかも知れません。
確かに、例えば「実の父について、高齢による認知症が進行している」という状況で、近くに住んでいて、身の回りのお世話や介護をされてきたお子さんが成年後見人になれば、なにかと便利・安心であることは間違いないでしょう。
しかし、ご本人にお子さんが複数おり、お子さんの間にご本人の財産管理について対立が生じている場合、お子さんの1人を成年後見人とすることが、妥当なのかどうか? という点も考慮が必要です。
成年後見制度は、ご本人を保護・支援して、ご本人のために適切に財産管理をするための制度です。複数のお子さんの間でご本人の財産管理について対立が生じている状況で、お子さんの1人が成年後見人になったとしても、ご本人の財産管理業務が円滑に進むことは期待できず、結果的にご本人が不利益を被ってしまうと思われるためです。
このように、関係者間でご本人の財産管理について対立が生じている場合には、専門的知識を有し、職務として公正に後見業務を行うことができる第三者として、地域の弁護士などを裁判所が選任することは、一般的によくみられます。成年後見人の選任に際しては、ご本人に近い親族の皆さんに対して、その候補者が成年後見人に就任することの賛否を問う手続がありますから、親族の皆さんの回答によっても、判断は変わってくるでしょう。
なお、誰が成年後見人になるかという問題は、成年後見人の報酬についても影響してくるため、こちらも念頭に置いておく必要があります。成年後見人に対する報酬は、成年後見人から裁判所に対する申立てがあったときに審判で決定されます。
ご本人(成年「被」後見人)のご親族が成年後見人に就任した場合、報酬の申立が行われない場合も多いかと思いますが、弁護士などの専門家が成年後見人に選任された場合、案件や後見業務の内容にもよるものの、一般的に月々2万円~3万円程度の報酬が発生します。
このように、申立側の希望通りに全て進むわけではありませんから、事前にある程度の見通しや、準備をしておくことが、成年後見人選任をスムーズに進めるために大切な事かと思います。
こうしたお困り事は、個別事案ごとの事情によって内容も変わってまいりますから、法律相談の際に弁護士がご事情を詳しくお聞きした上で、アドバイスやご説明を差し上げます。
「成年後見人をつけたい」というご希望の方は、まず当事務所の法律相談をお申込下さい。