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清水綜合法律事務所 Shimizu Law Office
清水綜合法律事務所 コラム

カテゴリー 金銭のトラブル

11月 19 2012

未払の代金を請求したい

納品した商品の代金を払ってもらえないというトラブルが、しばしばご相談として寄せられます。弁護士が交渉や裁判を行い、無事回収に成功する件もありますが、なかなかうまく回収できない案件もあります。こうした代金支払請求がうまくいかない理由、うまくいく場合の展開などを簡単に整理してみましょう。

まず基本的な問題ですが、まともな会社・相手であれば、本来支払う払うべき代金や賃料はきちんと払ってくるものです。したがって「未払が生じている」という状況自体が、はっきり言えば既に、相当非常識な状態と言わざるを得ません。こうした相手に代金をきちんと支払わせることが簡単でないのは、弁護士がついた場合であっても大きくは変わりません。
また、弁護士に回収を依頼するにしても、裁判などの手段に出るにしても、一定の費用や実費が必要となってきます。代金満額の回収に成功しても、トータルで見て赤字では意味がありませんから、全体の請求金額が少ない場合、弁護士へのご依頼をお勧めしづらい状態になる場合があります。
また、相手の経営状態が悪化してキャッシュが無い状況になっていると、「ない所からは取れない」という展開になることがあります。消費者金融から過払い金を回収する場合でも同様の展開になることがありますが、経営が傾いた会社を相手に裁判を起こし、預金口座を差し押さえても、結局たいした金額も入っていなかったということがあるのです。
こちらも最大限努力して回収しますが、あくまで法的な手段に沿った回収であり、相手の会社に押し掛けていって家探しするわけではないので、手段にも限度というものがあることは予めご理解いただければと思います。

何だか悪い展開の話ばかりをご紹介してしまいましたが、代金回収にはこうした側面が実際ありますから、基本的には「前のツケが払われていない相手とは取引しない」「法的な措置を取るならば、相手の経営状態が悪化する前に動く」といった防衛的な姿勢が大変重要かと覆います。相手の経営状態がまだ何とかなる状態であれば、「うるさい相手には仕方ないので払う」ということもありますし、預金口座を差し押さえてやると、驚いて連絡をしてくるということもあるでしょうから、早めの対策が大変重要です。
もちろん、このままでは我慢できない、どうにかして少しでも回収したいというご希望であれば、当事務所としても積極的にお手伝いをさせていただきますから、まずはお話を詳しく聞かせてください。

当事務所では会社や個人事業主の自己破産を多く扱っていますが、「取引先からの代金支払が滞った結果、経営状況が致命的に悪化する」というケースが実際に見られます。本来払ってもらえるはずの代金が払われないために会社が倒産、ということではあまりにも無念です。

弁護士に依頼して取引先に請求をする、というと何やら大事にしてしまう印象で、消極的なお気持ちになるかもしれませんが、まずご自身の生活や、ご自身の事業を守ることを考えてください。弁護士が請求していく際のニュアンスや手段の強弱なども、状況に応じてもちろん対応可能です。手遅れになってしまう前の選択肢の一つとして早め早めに検討していただければと思います。

4月 28 2011

強制執行・差し押さえと給料債権

「強制執行」「差し押さえ」というと、自宅まで執行官がやってきて家財を押さえられてしまう情景をイメージされるかもしれませんが、実際は預金口座や給料の差押えの方がよく見られるケースかと思います。

貸金や慰謝料、養育費、損害賠償金などを支払う債務があり、判決正本や和解調書、調停調書などが作成されている場合、支払が滞れば債権者の強制執行が可能となります。分割返済の約束を守れずに「期限の利益」を喪失してしまえば、支払うべき全額を一度に差し押さえられる状態になってしまう場合もあるのです。

今回は、ある日突然、職場に裁判所から差押決定が届いた場合どうなるか、というお話をしたいと思います。

 

1 給料の強制執行・差押えとは?

給料差し押さえは、債権執行の一種です。

 ・A→B   
※請求権は、Aの「貸金」「損害賠償」「慰謝料」「養育費」などの請求権

・B→C(CはBの雇用主)  
※請求権は、Bの賃金請求権

 このように2つの請求権が成り立っている状態で、ABCを1本に連結してみると、以下のようになります。(Aから見た関係)

A(債権者)→B(債務者)→C(第三債務者)

給料の強制執行・差し押さえというのは、AがBに対する請求権(慰謝料や養育費、貸金債権など)を回収するため、Bの雇用主であるCを第三債務者として、BのCに対する賃金請求権を差し押さえるという図式です。

 

2 強制執行・差し押さえの対象

強制執行・差し押さえの対象は、給料債権に限定されるものではありません。可能であれば債務者の預金口座などを差し押さえた方が、一度に回収できる額はより大きくなる場合もあるでしょう。

ただ、債務者の預金口座が不明であったり、預金口座の残高があまり残っていないと予想される場合であれば、債務者の給料債権を差し押さえ、毎月少しずつでも回収していくという手段を検討しなければならない場合があります。

 

3 給料に対する強制執行・差し押さえの範囲

給料の全額が差し押さえられてしまうと、差し押さえをされた債務者が生活できなくなってしまいますから、債務者の給料を全て差し押さえるということはできません。

差押えが可能な範囲は、給料(基本給や諸手当。通勤手当を除きます)から所得税・住民税・社会保険料を控除した残額の、4分の1までです。

※給料から所得税・住民税・社会保険料を引いた残額が月44万円を超えるときは、その残額から33万円を控除した金額になります。

 <大まかに計算した場合の一例>

①月ごとの総支給額:25万円
②天引き月額合計:5万円
③本来の手取り月額:20万円
④差し押さえ可能な月額:5万円(③の4分の1)
⑤差し押さえ後の手取り月額:15万円(③-④)

 給料の総支給額が25万円、税金・社会保険料の控除額を、大まかに考えて合計で5万円と考えると、本人の手取り月額が20万円となります。月給から差し押さえによって月々回収することができるのは、この4分の1までですから、このケースでは月5万円までとなります。

上の例では月額5万円が差し押さえられた結果、債務者が得る手取り月額は20万円から15万円となり、差し押さえられた月額5万円は債務者の勤務先である第三債務者(C)が、債権者(A)に直接支払うことになります。

なお、給料に対する強制執行・差し押さえにおいては、月々の給料だけでなく、ボーナス(賞与)や退職金も執行対象とすることが可能です。

 

 4 給料の強制執行・差し押さえのメリット・デメリット

給料差し押さえのメリットは、職場さえ分かっていれば差し押さえが可能であることです。債務者の利用している銀行名までは不明ということも多いかと思いますが、勤務先程度であれば判明している場合も少なくないでしょう。

デメリットは、債務者に退職・転職などをされてしまうと、次の職場まで差し押さえが追いかけていく訳ではないので、そこで回収がストップしてしまうことです。また差し押さえを実行したことによって、債務者が現在の職場を退職してしまうという危険性も否定はできません。

 

5 差し押さえされる側から見た場合

給料に強制執行されると、裁判所から職場に差押命令が送達されますから、その段階で職場も驚き、一体どうしたのかという事になります。

差し押さえされた月々の給料は、債務者の勤務する職場(第三債務者)が債権者に対して支払っていくことになります。こうなると、債務総額にもよりますが数ヶ月間から数年間という期間、債務者の職場が給料支払とは別の計算を行い、振込や供託などを続けていくことになるわけですから、勤務先の事務的な負担も無視できないものになってきます。

いずれにしろ、債務者やその職場にとってもあまり望ましい事態とはいえませんから、債務を負っている方はこうしたことにならないよう、約束通りの支払いをきちんと実施することが大変望ましいといえます。

 

6 まとめ

給料の差し押さえは、毎月の回収額がそれほど多くならず、満額回収までに長期間必要となってしまうケースが多いこと、退職などのリスクに対応できないことなどから、回収方法として積極的にお勧めするほど効果的な手段ではありません。ただ、実際上は給料しか回収対象が見あたらないというケースもありますから、そうした場合には一般的な金融機関でも、当事務所でご依頼を頂いた業務の中でも、給料を対象とした強制執行・差し押さえを行うこと自体は一般的に行われていることかと思います。

「請求される側」の場合は、こうした給料差し押さえに至らないようなアドバイスをまず差し上げておりますし、「請求する側」の場合は、給料差し押さえによるメリットとデメリットを十分ご理解頂いた上で、業務を進めております。

最初から差し押さえを前提とした法律相談、というケースはあまりないかと思いますが、何らかの金銭的請求をお手伝いする中で、強制執行・差し押さえについてのご説明が必要となる場合もありますので、そうした場合は弁護士から詳しくご説明を差し上げております。

1月 05 2011

差し押さえと債務名義

多重債務や慰謝料など、相手に金銭を支払うべき立場の方からご相談を受けた際に、「相手から差押をされたりしないか」というご心配をされる方がみられます。

 結論から言うと、単にお金を借りていたり、損害賠償債務があるというだけで、ある日突然に銀行口座や職場の給料が差押される、といったことはありません。差押をするには、裁判所を通じたそれなりの手続が必要です。
なお差押といっても、その対象は債権、動産、不動産と様々ですが、一般の方が比較的関わる可能性の高いものは債権の差押と思われますので、債権執行手続の流れを簡単に説明してみましょう。

 

基本的な債権差押の場面では、当事者が以下のように3人出てきます。
A:債権者(支払ってもらう権利のある人)
B:債務者(支払う義務のある人)
C:第三債務者(Bに支払い義務のある人

【A→B】という請求を実現するために、Aが【B→C】という請求権を取り立てるというイメージです。Cというのは、たとえば「Bの勤務する会社」(BがCに給料債権を持ちます)や、「Bの預金を預かっている銀行」(BがCに預金払戻請求権を持ちます)などです。

差押を裁判所に申し立てるには、まず「債務名義」というものが必要となります。
債務名義には色々な種類がありますが、たとえば確定した判決正本、裁判上の和解が成立した場合や調停が成立した場合に、裁判所が作成する調書の正本、公証人役場で作成した公正証書正本、仮執行宣言付支払督促などです。この例を見ても分かるように、債務名義というのは裁判所や公証人役場などの公的な機関で作成された文書です。一般の方が相手方と合意の元に作成した示談書や和解書などを、そのまま債務名義として差押に用いることはできませんので区別してください。

債権者Aが債務名義を得て裁判所に「債権差押命令申立」を行うと、裁判所から「債権差押命令」が出され、AやBだけでなく、第三債務者であるCにも差押命令の正本が裁判所から送達されます。債務者Bへの送達が完了した日から1週間が経過するとAに取り立て権が生じるので、AはCから直接支払を受けられるようになります。これが債権差押手続の簡単な流れです。

 

なお債務名義が既にあるケースであれば、差押申立の準備に取り掛かってから、債権差押命令が出て直接取り立てが可能になるまでの時間は、それほど長いものではありません(早ければ3週間程度のこともあります)。差押をされてしまうと、預金口座の残高が減って予定していた引落ができなかったり、会社に差押が知られてしまったりといったトラブルもあり得ます。相手が債務名義を持っているようなケースでは、支払いを怠ると、冒頭に書いたような「ある日突然差し押さえが」という展開も現実的なものとなってきますから、債務名義で定められた金員の支払を怠ることがないよう十分注意すべきでしょう。

クレジットカードの支払いが滞っており、裁判所から呼び出しが来ているのに放置してしまったような方が結構みられますが、そのまま判決が言渡されたり、支払督促に仮執行宣言が付されることで差押が可能となってしまいますから、ともかく放置せずに対処されることをお勧めしています。

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