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清水綜合法律事務所 Shimizu Law Office
清水綜合法律事務所 コラム

6 月 03 2011

交通事故の弁護士費用

弁護士費用について、「何となく心配」という方が少なくないようです。

案件によって難易度や見通しも異なりますから一概には言えませんが、交通事故の損害賠償請求をお手伝いする場合、当事務所では「着手金」(ご依頼時に必要となる弁護士費用)は10万円程度の件が多いかと思います。

 

「着手金」以外に必要となる弁護士費用は「成功報酬」ですが、これは文字どおり完全な成果報酬型となっており、「実際に増額成功した額」に対する何%という方式で計算されます。

具体例に考えてみますと、弁護士にご依頼される前に加害者側が提示してきていた示談金が1000万円で、弁護士のお手伝いによって最終的に1500万円獲得した場合には、当初提示額との差額500万円が業務の成果ということになります。仮に成功報酬が獲得額の8%(税別)である場合、成果である500万円の8%(+消費税5%)の42万円が成功報酬ということになります。( 当事務所の解決事例 )

※事前に示談金額の提示が無いケースの場合、成功報酬は実際の「獲得額」に対する何%という方式になります。

 

成功報酬の割合をどの程度とするかはケースバイケースですが、当事務所では業務成果の数%~20%程度の範囲内であることが多いかと思います。どのようなケースでも、成功報酬の割合はご依頼時に作成する契約書に明記されますから、あとで不明確な報酬が発生することはありませんのでご安心下さい。

 

このように、当事務所では「着手金」「成功報酬」以外の弁護士費用は通常生じません。

たとえば、東海3県や静岡県程度の範囲であれば、裁判の期日に出廷する場合でも、弁護士の日当などは頂いておりません。交通事故の場合、「交通事故の発生地点」や、「被害者の住所地」が裁判管轄の一つになりますから、損害賠償請求の裁判を起こす場合でも、被害者の方がお住まいの地域に近い場所で進められることが多く、当事務所では遠方の裁判所へ行かなければならないようなケースは今のところ無いという状況になっております。

 

弁護士費用と別に必要となるのが「実費」です。これは通信費や交通費など、業務の処理に必要な支出で、依頼者様のご負担となります。実費の額は案件の内容によって大きく変わってきますが、例えば交通事故の損害賠償請求が交渉で解決したような場合であれば、業務処理に必要となる実費は、切手代や振込手数料など、比較的少額となることが多いかと思います。

交渉段階で賠償金の支払額が折り合わず、裁判を起こす場合には、少し実費の額が増えてきます。裁判を起こす場合、まず訴状に貼る収入印紙代が必要です。収入印紙代は、原告が被告に請求する金額が上がるにつれて高くなりますが、例えば100万円の請求をする場合の収入印紙代は1万円、1000万円の請求であれば5万円、1億円の請求であれば32万円です。あまり無理な請求を立てても印紙代がかかるだけですから、どの程度獲得できる見込みがありそうか、十分検討の上で訴額を設定する必要があるでしょう。

このほか裁判をする場合の実費としては、裁判所に納める切手代(6000円~7000円程度)、弁護士が裁判所に出廷する際の交通費などが一般的です。

 

以上のように、交通事故の損害賠償請求を当事務所にご依頼される場合必要となる出費は「着手金」と「実費」、増額に成功した場合の「成功報酬」となります。着手金の額と成功報酬の計算方法は契約書に明記され、実費支出の内容についても業務終了時に明細書をお渡ししますから、不明確な支出、事前に説明のない弁護士費用などが生じることのないようになっております。

 

交通事故被害というのはそれぞれ異なったポイントがあり、賠償金を必ず増額できるという性質のものではありませんが、当事務所のホームページにて具体的に増額成功した解決実績をご紹介しておりますので、そうした事例についても参考の一つとしてご検討頂ければと思います。ご依頼される方々のリハビリや治療など、適正な賠償金額を獲得することは生活再建のために大変重要ですから、当事務所としても交渉や裁判において十分な主張立証を尽くしてまいります。

詳細については法律相談の際に弁護士からご説明いたしますので、まずは法律相談をお申し込み下さい。

カテゴリー:交通事故

4 月 28 2011

強制執行・差し押さえと給料債権

「強制執行」「差し押さえ」というと、自宅まで執行官がやってきて家財を押さえられてしまう情景をイメージされるかもしれませんが、実際は預金口座や給料の差押えの方がよく見られるケースかと思います。

貸金や慰謝料、養育費、損害賠償金などを支払う債務があり、判決正本や和解調書、調停調書などが作成されている場合、支払が滞れば債権者の強制執行が可能となります。分割返済の約束を守れずに「期限の利益」を喪失してしまえば、支払うべき全額を一度に差し押さえられる状態になってしまう場合もあるのです。

今回は、ある日突然、職場に裁判所から差押決定が届いた場合どうなるか、というお話をしたいと思います。

 

1 給料の強制執行・差押えとは?

給料差し押さえは、債権執行の一種です。

 ・A→B   
※請求権は、Aの「貸金」「損害賠償」「慰謝料」「養育費」などの請求権

・B→C(CはBの雇用主)  
※請求権は、Bの賃金請求権

 このように2つの請求権が成り立っている状態で、ABCを1本に連結してみると、以下のようになります。(Aから見た関係)

A(債権者)→B(債務者)→C(第三債務者)

給料の強制執行・差し押さえというのは、AがBに対する請求権(慰謝料や養育費、貸金債権など)を回収するため、Bの雇用主であるCを第三債務者として、BのCに対する賃金請求権を差し押さえるという図式です。

 

2 強制執行・差し押さえの対象

強制執行・差し押さえの対象は、給料債権に限定されるものではありません。可能であれば債務者の預金口座などを差し押さえた方が、一度に回収できる額はより大きくなる場合もあるでしょう。

ただ、債務者の預金口座が不明であったり、預金口座の残高があまり残っていないと予想される場合であれば、債務者の給料債権を差し押さえ、毎月少しずつでも回収していくという手段を検討しなければならない場合があります。

 

3 給料に対する強制執行・差し押さえの範囲

給料の全額が差し押さえられてしまうと、差し押さえをされた債務者が生活できなくなってしまいますから、債務者の給料を全て差し押さえるということはできません。

差押えが可能な範囲は、給料(基本給や諸手当。通勤手当を除きます)から所得税・住民税・社会保険料を控除した残額の、4分の1までです。

※給料から所得税・住民税・社会保険料を引いた残額が月44万円を超えるときは、その残額から33万円を控除した金額になります。

 <大まかに計算した場合の一例>

①月ごとの総支給額:25万円
②天引き月額合計:5万円
③本来の手取り月額:20万円
④差し押さえ可能な月額:5万円(③の4分の1)
⑤差し押さえ後の手取り月額:15万円(③-④)

 給料の総支給額が25万円、税金・社会保険料の控除額を、大まかに考えて合計で5万円と考えると、本人の手取り月額が20万円となります。月給から差し押さえによって月々回収することができるのは、この4分の1までですから、このケースでは月5万円までとなります。

上の例では月額5万円が差し押さえられた結果、債務者が得る手取り月額は20万円から15万円となり、差し押さえられた月額5万円は債務者の勤務先である第三債務者(C)が、債権者(A)に直接支払うことになります。

なお、給料に対する強制執行・差し押さえにおいては、月々の給料だけでなく、ボーナス(賞与)や退職金も執行対象とすることが可能です。

 

 4 給料の強制執行・差し押さえのメリット・デメリット

給料差し押さえのメリットは、職場さえ分かっていれば差し押さえが可能であることです。債務者の利用している銀行名までは不明ということも多いかと思いますが、勤務先程度であれば判明している場合も少なくないでしょう。

デメリットは、債務者に退職・転職などをされてしまうと、次の職場まで差し押さえが追いかけていく訳ではないので、そこで回収がストップしてしまうことです。また差し押さえを実行したことによって、債務者が現在の職場を退職してしまうという危険性も否定はできません。

 

5 差し押さえされる側から見た場合

給料に強制執行されると、裁判所から職場に差押命令が送達されますから、その段階で職場も驚き、一体どうしたのかという事になります。

差し押さえされた月々の給料は、債務者の勤務する職場(第三債務者)が債権者に対して支払っていくことになります。こうなると、債務総額にもよりますが数ヶ月間から数年間という期間、債務者の職場が給料支払とは別の計算を行い、振込や供託などを続けていくことになるわけですから、勤務先の事務的な負担も無視できないものになってきます。

いずれにしろ、債務者やその職場にとってもあまり望ましい事態とはいえませんから、債務を負っている方はこうしたことにならないよう、約束通りの支払いをきちんと実施することが大変望ましいといえます。

 

6 まとめ

給料の差し押さえは、毎月の回収額がそれほど多くならず、満額回収までに長期間必要となってしまうケースが多いこと、退職などのリスクに対応できないことなどから、回収方法として積極的にお勧めするほど効果的な手段ではありません。ただ、実際上は給料しか回収対象が見あたらないというケースもありますから、そうした場合には一般的な金融機関でも、当事務所でご依頼を頂いた業務の中でも、給料を対象とした強制執行・差し押さえを行うこと自体は一般的に行われていることかと思います。

「請求される側」の場合は、こうした給料差し押さえに至らないようなアドバイスをまず差し上げておりますし、「請求する側」の場合は、給料差し押さえによるメリットとデメリットを十分ご理解頂いた上で、業務を進めております。

最初から差し押さえを前提とした法律相談、というケースはあまりないかと思いますが、何らかの金銭的請求をお手伝いする中で、強制執行・差し押さえについてのご説明が必要となる場合もありますので、そうした場合は弁護士から詳しくご説明を差し上げております。

カテゴリー:債権回収, 金銭のトラブル

2 月 22 2011

遺産の預金を払い戻したい②

銀行預金は、遺産を構成する基本的な項目の一つです。

遺産の分割方法について、法定相続人間で折り合いがつかない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停という手段もなかなか便利ですよ、というお話を以前に書きました。(「遺産分割調停とは?」)。
調停において、預金の分割方法も含めて相続人全員の意見が折り合えば、その合意内容通りに裁判所が調停調書を作成しますから、その調停調書を金融機関に持っていけば、有効な遺産分割協議書を提出した場合と同様に、預金の払戻手続を進めることができます。

では、調停を何回やっても、最後まで相続人間の意見が折り合わなかった場合はどうなるでしょうか。

遺産分割調停が不成立となった場合、最終的には裁判所が審判によって強制的に遺産の分割を実施します。不動産や証券などの遺産は、裁判所が各種の事情を考慮して、誰に何を相続させるかということまで取り決めますが、ここで預金と他の相続財産は扱いが異なってきます。

預金(の払戻請求権)が複数の相続人に相続された場合について判例は、一貫して当然分割説に立っています(東地H8.2.23等)。これは特段の遺産分割手続を経ず、各相続人が当然に、法定相続分に応じた預金払戻請求権を分割取得するという立場です。
例えば、被相続人が父で100万円の預金があった場合、その妻と子2人は法定相続分に従って、妻が50万円、子が1人あたり25万円ずつの預金払戻請求権を、銀行に対して当然に有しているという考え方です。

このように、預金払戻請求権は当然に分割されているというのが裁判所の基本的な立場ですから、相続人間でどうやっても預金の分割方針に折り合いがつかない場合、調停や審判など、家庭裁判所の遺産分割手続を利用した払戻は、原則的には出来ないと考えることになります。

一方、銀行などの金融機関は法定相続人全員の実印をついた遺産分割協議書など所定の書類がなければ、一部の相続人による払戻請求には応じないことが一般的ですから、相続財産のうち預金だけが塩漬けになってしまう可能性もあるのです。

こうした場合にどうするかですが、ともかく預金払戻手続という部分だけでも、相続人が全員協力して進めることができれば一番よいと思います。ただ実際には、払い戻された現金を前にまた紛争が再燃してしまう危険もありますから、相続人間で最後まで話をまとめることはハードルが高いかもしれません。

次に、各相続人が裁判によって、自らの法定相続分に応じた払戻を金融機関に対して請求していくといいう手段があります(コラム「遺産の預金を払い戻したい」参照)。この方法は他の相続人と関係なく進められるほか、弁護士が代理人として全ての手続を行うことが可能ですから、ご本人のストレスなども少なく済むのが利点です。

相続財産の基本的な内容の一つでありながら、このように預金は他の遺産と扱いが異なる部分がありますから、ご留意頂ければと思います。

カテゴリー:相続・遺言

1 月 05 2011

差し押さえと債務名義

多重債務や慰謝料など、相手に金銭を支払うべき立場の方からご相談を受けた際に、「相手から差押をされたりしないか」というご心配をされる方がみられます。

 結論から言うと、単にお金を借りていたり、損害賠償債務があるというだけで、ある日突然に銀行口座や職場の給料が差押される、といったことはありません。差押をするには、裁判所を通じたそれなりの手続が必要です。
なお差押といっても、その対象は債権、動産、不動産と様々ですが、一般の方が比較的関わる可能性の高いものは債権の差押と思われますので、債権執行手続の流れを簡単に説明してみましょう。

 

基本的な債権差押の場面では、当事者が以下のように3人出てきます。
A:債権者(支払ってもらう権利のある人)
B:債務者(支払う義務のある人)
C:第三債務者(Bに支払い義務のある人

【A→B】という請求を実現するために、Aが【B→C】という請求権を取り立てるというイメージです。Cというのは、たとえば「Bの勤務する会社」(BがCに給料債権を持ちます)や、「Bの預金を預かっている銀行」(BがCに預金払戻請求権を持ちます)などです。

差押を裁判所に申し立てるには、まず「債務名義」というものが必要となります。
債務名義には色々な種類がありますが、たとえば確定した判決正本、裁判上の和解が成立した場合や調停が成立した場合に、裁判所が作成する調書の正本、公証人役場で作成した公正証書正本、仮執行宣言付支払督促などです。この例を見ても分かるように、債務名義というのは裁判所や公証人役場などの公的な機関で作成された文書です。一般の方が相手方と合意の元に作成した示談書や和解書などを、そのまま債務名義として差押に用いることはできませんので区別してください。

債権者Aが債務名義を得て裁判所に「債権差押命令申立」を行うと、裁判所から「債権差押命令」が出され、AやBだけでなく、第三債務者であるCにも差押命令の正本が裁判所から送達されます。債務者Bへの送達が完了した日から1週間が経過するとAに取り立て権が生じるので、AはCから直接支払を受けられるようになります。これが債権差押手続の簡単な流れです。

 

なお債務名義が既にあるケースであれば、差押申立の準備に取り掛かってから、債権差押命令が出て直接取り立てが可能になるまでの時間は、それほど長いものではありません(早ければ3週間程度のこともあります)。差押をされてしまうと、預金口座の残高が減って予定していた引落ができなかったり、会社に差押が知られてしまったりといったトラブルもあり得ます。相手が債務名義を持っているようなケースでは、支払いを怠ると、冒頭に書いたような「ある日突然差し押さえが」という展開も現実的なものとなってきますから、債務名義で定められた金員の支払を怠ることがないよう十分注意すべきでしょう。

クレジットカードの支払いが滞っており、裁判所から呼び出しが来ているのに放置してしまったような方が結構みられますが、そのまま判決が言渡されたり、支払督促に仮執行宣言が付されることで差押が可能となってしまいますから、ともかく放置せずに対処されることをお勧めしています。

カテゴリー:債権回収, 金銭のトラブル

12 月 21 2009

遺産の預金を払い戻したい

亡くなった方が金融機関の口座に預金をしていた場合、この預金も遺産の一部となり相続人が権利を持つことになります。
相続人が故人の預金を払い戻そうとする場合には、通常、相続人全員で払戻用の書類に署名押印することが必要です。しかし相続人間で遺産分割方法について争いがあるなど、全員協力して払戻手続を進めることができない場合には、金融機関も一部の相続人による預金の分割払戻に応じないことが多いため、トラブルになることがあります。
 

 

銀行の側からすると、個々の相続人からの払い戻し請求に応じてしまうと、あとで他の相続人から既に払戻した部分まで二重に請求をされたり、双方の主張に巻き込まれて混乱する危険性が無いとは言えませんから、それを理由に全員の署名と実印を要求してくるわけです。

 

この点、判例は、相続が起こった場合の預金払戻請求権は、遺言などによって別途の遺産分割方法が定められていない限り、法定相続分に応じて当然に分割されるとされています(東地H8.2.23等)。
例えば亡くなった夫の預金が100万円で法定相続人が妻とその子2人なら、遺産分割協議など別途の手続を経ることなく、当然に妻が50万円、子がそれぞれ25万円の預金払戻請求権を金融機関に対して有するという考え方です。

 

もっとも、こうした判例の立場を金融機関に主張したところで、素直に預金が払い戻されることは通常期待できないため、実際には裁判を起こして回収していくことが多くなります。金融機関ごとに対応が異なりますが、判決を実際に得た上で払戻を請求していく場合のほか、裁判の途中で和解して払戻を受けることもありますからケースバイケースです。ただ、預金契約の内容いかんによっては、裁判をしても払戻を命じる判決が見込めないようなケースもありますから事前に注意が必要です。

 

以上のように亡くなった方名義の預金について払戻請求を行うためには、裁判手続やその前提となる戸籍調査、また金融期間ごとに異なる個別の対応など、やや複雑な手続が必要となってきます。当事務所では、こうした手続を全てまとめてお手伝いすことが可能となっておりますので、まずはご相談頂ければと思います。 

 

 

カテゴリー:相続・遺言

10 月 30 2009

被疑者国選弁護の対象事件が拡張されました

1 被疑者段階での国選弁護制度
2006年よりスタートした新しい国選弁護制度について、2009年5月21日から対象事件が拡張されました。
これまで、被疑者段階の国選弁護は、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しく は禁固にあたる事件などの重大事件(殺人・強盗など)に限られていましたが、今回の拡張により長期3年を超える懲役若しくは禁固にあたる事件(窃盗や傷害、詐欺など)についても対象とされるようになっています。

2 制度の変遷
2006年10月以前は、起訴されて被告人となった段階でなければ国選弁護人をつけることができなかったので、逮捕・勾留された公訴提起前の被疑者は当番弁護士制度を利用して、無料で弁護士から法的アドバイスを受けることができるようになっていました。ただ、当番弁護士の面会は1回きりですから、その後も引き続いて起訴前の弁護活動を希望する場合には、私選弁護人としての依頼・契約が個別に必要という状況でした。
2004年5月21日に成立・公布された「刑事訴訟法の一部を改正する法律」により、2006年から被疑者段階から国選弁護人をつけることが可能となり、今回その範囲がさらに拡張されてきたという経緯となります。

3 現場の対応
被疑者国選弁護の対象が窃盗事件や傷害事件にまで拡張されたことにより、案件数が一気に増加して弁護士が不足する可能性については従前から懸念されていました。愛知県弁護士会内でも今年は被疑者国選弁護人名簿への登載がかなりアナウンスされており、準備の甲斐あってか大きな混乱はなかったように聞いていますが、それでもまだ慢性的に人手が足りない状況のようです。
私も、微力ながら貢献できることがあればと被疑者国選弁護人としての活動を現在行っています。

4 弁護人としての進め方
基本的な制度自体は、従来の国選弁護人と大きな変化はありません。指定日に事務所で待機していると法テラスから連絡が入るので、被疑者が勾留されている警察署や拘置所まで接見に出向くことから被疑者国選弁護が始まります。

もし起訴されてしまうと、本人や家族にとって社会的・精神的な負担が非常に大きくなってしまいますから、起訴前に示談交渉・被害弁償などをとりまとめ、不起訴になるよう努力することが起訴前の弁護活動においては大変重要な業務となってきます。

もっとも案件の中には、示談や被害弁償を実施したくても資力面で難しいなど、望ましい方針で業務を進めることが難しいケースも一定程度あると思われます。とはいえ被害弁償などを行わない(行えない)場合でも、話し相手になったり被疑者家族との連絡窓口になるだけでなく、不当な取調べ・調書作成などが行われないように捜査過程をよく聞き出しておくことが、適切な弁護活動のために必要と考えています。

5 その他雑感
被疑者が起訴されて被告人となった場合、被疑者国選弁護人はそのまま被告人国選弁護人となりますが、弁護報酬は算定方式がそれぞれ異なっており別個に算出されます。
被疑者段階では「接見回数」を基本的指標としつつ、示談成立の場合などに加算される 方式、被告人段階では「公判回数」を基本的指標としつつ、保釈や和解があった場合などに加算される方式となっており、被告人弁護に関して接見報酬は出ないことになっています。
何をもって業務遂行と見るかの考え方は様々と思いますが、別件で再勾留されたという ので接見に行ったところ、速やかに追起訴されてしまっており、再勾留分についての被疑者国選報酬がゼロだったということがありました。こうした被疑者・被告人に関する情報伝達も、もっとスムーズになっていけばより良いと思います。
逮捕段階の被疑者や、長期3年以下の懲役もしくは禁錮に当たる罪で勾留されている被疑者など、いまだ一部対象外の部分があるという課題も残されてはおりますが、まずは担当事件について被疑者・被告人の権利が十分守られ、最善の弁護活動となるようにと心がけつつ日々努めております。

カテゴリー:日々の雑感

6 月 02 2009

オフィスの広さは?

開業に際してのテナント探しは、楽しくもあり悩ましくもある問題です。

業界では一つの目安として「弁護士の人数×5坪+10坪」と言われたりもするようですが、これによると弁護士一人で独立しようとした場合、事務所の広さは15坪~ということになるでしょうか。

おおまかな話をすれば、1坪が約3.3平方メートルですから、15坪なら15×3.3で約49.5平方メートルです。

つまり約7メートル四方の部屋ということですが、法律事務所の場合はお客さんと話す会議スペースが必要ですし、自分の執務領域に加えてコピー機や本棚、事務員さん用の机なども必要ですから、実際にレイアウトを描いてみるとこれは結構ギリギリの広さのように思います。事務所を何年かやっていると、書籍や終結した案件の資料などが結構溜まってくるものですから、できれば書庫や倉庫的なスペースにも余裕を持たせておきたいところですね。

 ただ実際には、その時点で空いているテナントの中で選ばなければなりませんから選択肢は有限ですし、なにより予算の問題があります。キッチンやトイレなど水まわりが共用なのか専用なのかによっても、実際に執務スペースとして使用可能な部分の広さは全く変わってくるでしょう。

結局こうした広さというものも目安に過ぎませんから、どこであれ自分が最終的に選んだテナントであれば気にせずともよいわけです。ちなみに私は、最初から大分広いテナントを借りてしまったため、開業初期はかなりガランとした状態でした。これはこれで、仕事を頑張って早くこの部屋を職員や勤務弁護士の机で一杯にせねばという気合が入るものでしたから、良い選択だったと思っております。

カテゴリー:独立開業

5 月 20 2009

交通事故損害における諸問題

 1 平成20年度中の交通事故発生状況

警察庁交通局から、平成20年度中の交通事故発生状況が発表されました。
死者数は8年連続の減少、交通事故発生件数および負傷者数も4年連続で減少と、全体的には改善傾向となっています。シートベルトやチャイルドシートの義務化、飲酒運転の厳罰化など、交通事故の被害防止に向けた対応の成果と評価できるでしょうか。
しかしながら当事務所の位置する愛知県について見ると、交通事故死亡者数は前年に引き続いて全国ワースト一位(276人)となってしまいました。東京都(218人)や大阪府(198人)より多いばかりか、北海道全域(228人)や四国全域(242人)よりも多いという、大変に不名誉な惨状であります。

 

2 交通事故被害における弁護士の役割

当事務所は、交通事故案件に関しては専ら被害者側の代理人です。交通事故による死亡事故事例や後遺障害事例について、被害者に支払われる損害賠償額の増額を目指して交渉・訴訟を行うことが業務の中心となっています。
こうした業務がなぜ必要になるかというと、端的に言えば加害者側保険会社から提示される示談金の額が低いためです。そもそも保険会社側と裁判実務では交通事故損害の算定基準が異なっているため、弁護士の視点からは特に争点らしき事情が見られないケースでも、相当に低い示談金提示となっていることがあります。
もっとも、当事者間でスムーズに示談成立へ至る場合も一定割合あると思われますから、弁護士への相談・依頼まで発展するようなケースでは、金銭的な問題だけではなく、被害者が、加害者や加害者側損保への不信・不満を抱いている場合が多いように感じています。
加害者側損保も社内基準に従って粛々と業務を行っているはずなのですが、実際には案件や担当者ごとに方針が一定せず、過失割合や逸失利益などに関して必ずしも論理的とは思われない主張に固執してくるような場合も見られます。そうした案件では当然ながら示談も難航しますし被害者側のストレスも大きくなりますから、弁護士が代理人として窓口になったほうがよいケースも多くなるでしょう。

 

3 交通事故損害賠償債務は破産免責されるか

加害者がそもそも任意保険に加入しておらず、自賠責からの賠償や、自己加入損保からの支払いしか受けることができないというケースも散見されます。こうした場合には加害者本人に対して不足額の支払請求をするほかありませんが、任意保険に加入していないような加害者は経済的に困窮した状態にあることも珍しくないため、そのまま自己破産などをされてしまうと大変困ったことになります。
破産法上の非免責債権とされ支払義務が残るものの一つに「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法第253条1項2号)」「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(同3号)」がありますが、交通事故による損害賠償債務は、これらに該当して免責対象から除外されるのでしょうか。
非免責債権の範囲は、条項により必ずしも明確でない場合もありますが、「悪意で加えた不法行為(2号)」とは、例えば害意による暴行などを指す趣旨ですし、「重大な過失(3号)」とは、暴走行為のように違反の程度が著しいものを指すと思われますので、ケースバイケースではあるものの免責確定後の請求というものは難しい場合が多いのではないかと考えています。

なお今年3月13日に広島地裁にて、任意保険に加入していなかった交通事故損害賠償債務の一部を、年額12万円ずつ20年間かけて支払うとの和解が成立し「自己破産 免責認めず」などと報道されていましたが、これはあくまで「和解(両者の譲歩による合意)」であって、交通事故によって生じた損害賠償債務の免責を裁判所が否定したケースではないことに注意する必要があると思います。

 

4 金銭賠償で解決できない問題について

死亡事故における遺族の悲しみはもちろんのことですが、命が助かった場合でも完治せず後遺障害が残ってしまうなど、交通事故によって被害者やその身内は心身に深い傷を負うことになります。その後の生活スタイルも、事故前とは違ったものになってしまう場合が多々あるのではないでしょうか。こうした苦しみや不自由を、全て金銭に置き換えて評価するという解決方法自体に、もともと難しい部分はあるわけです。
弁護士の業務は損害賠償金の増額という金銭的解決を主眼としてはおりますが、そうした機会を生活再建に向けたきっかけの一つとして受け止めてもらえるよう、依頼者とよく話し合いながら進めることが大変重要だと考えています。

 

5 今後に向けて

冒頭データのとおり国内の交通事故件数は減少傾向にありますが、一定数の事故発生は日々止むことなく続いています。また交通事故というものは、例えば信号停車中の追突など、自分の側で注意していても回避できない場合があるという点も難しい部分です。誰もが当事者になる可能性のある問題として、今後も交通事故を減少させるための社会政策を進めていく必要があるでしょう。
今年1月にはあいおい損保・ニッセイ同和損保・三井住友海上の経営統合が発表され、3月には日本興亜損保と損保ジャパンの経営統合が発表されるなど、損保業界の再編成も目まぐるしい速さで進んでいます。交通事故の被害者や遺族が、事故後の治療や生活の再建に困窮することのないような保険制度が整えられていくように願うばかりです。

カテゴリー:日々の雑感

4 月 07 2009

電子内容証明郵便

法律事務所では、文書の内容や配達の事実を後日の証拠とするため、文書を内容証明郵便で発送することがしばしばあります。

「内容証明郵便」とは、文書の内容や発送日などを郵便局(郵便事業株式会社)が証明してくれるサービスで、所定の書式で文書を作成して郵便局に持って行けば誰でも利用することができます。ただ、こういった従来の内容証明郵便は、大きな郵便局でないと取り扱っていませんし、「一行20文字以内、一ページ26行以内」といった厳重な書式制限があるほか、文書が2枚以上にわたる場合には契印を押さなければならない、同じ文書を計3通(相手への発送用・発送者の保管用、郵便局の保管用)作成して持っていく必要がある、発送用封筒を用意していく必要がある、書式チェックのため郵便局で長いこと待たされるなど、相当に手間が掛かるものです。

もし、うっかり「、」などをカウントしておらず1行の文字数をオーバーしていると受け付けてもらえませんし、郵便局に持っていく直前で誤字脱字を見つけたりすると、また最初から3通作り直しになってしまいます。

 

こうした手間のかかる内容証明郵便ですが、電子内容証明郵便システム(e内容証明)を使えば全ての手続きをネット経由で行うことができます。電子内容証明郵便システムを利用する場合は書式条件が緩和されており文字数などを特に気にすることなく文書作成できますし、料金もカードで決済可能、データを受信した郵便局側でプリントアウトから発送まで行ってくれるなど大幅な省力化が可能となりますから、便利な方法が導入されたなぁと思いながら利用しています。

 

ただ、電子内容証明郵便の発送を行っているのが現状では東京の郵便局1局だけであるため、発送状況が慢性的に混雑しているのは少し困ったことです。現在のところ特に深刻な問題は生じていませんが、データ送信から実際の発送まで20時間以上後ということもありますから、場合によっては郵便局まで走って従来の形式で発送した方が適切というケースもあるのかもしれませんね。

 

また、電子内容証明郵便作成ソフトの対応OSが、現在のところウィンドウズXPまでとなっており、VISTAに対応していないという問題も残されております。VISTAが登場して大分経つのですから、いいかげんに対応してほしいものだなあと思いつつ、電子内容証明郵便システムのバージョンアップを待つ日々となっているわけです。近日中に開業予定の方については、少し検討した方がよいポイントの一つではないでしょうか。

カテゴリー:業務の効率化, 独立開業

3 月 23 2009

離婚事件と弁護士の役割

■家事事件と離婚
当事務所では特に取扱事件の類型を限定せず、市民からの様々な相談を日々頂いておりますが、一般的な地域の法律事務所と同様、離婚や相続など家事関係の法律相談・依頼は一定の割合を占めています。

新人の弁護士や司法修習生と話をしていると、これから専門化していきたい取扱分野として家事関係や離婚を挙げる方は正直あまりおらず、人気があるとは言い難い分野かなとは思ってはいますが、これはこれで中々奥の深いものです。

 

■データから見る離婚問題の現状
厚生労働省の人口動態調査によると、平成17年度~平成19年度の離婚総数は、前年度比で順番に-3.3%(8887組減少)、-1.7%(4442組減少)、-1.0%(2643組減少)と続いており年々減少傾向にあります。

一方、裁判所に持ち込まれる離婚問題の件数は逆に増加傾向にあり、離婚訴訟の終局事件数は平成17年度~平成19年度では、前年度比で順番に+109%(4021件増加)、+21%(1642件増加)、+2.9%(271件増加)となっているほか、離婚調停の成立数も現状維持ないし増加傾向といえる状況になっています。(文末資料参照)

離婚総数自体が減少しているにもかかわらず、婚姻関係上の問題について裁判所を介して解決しようと考える人々が増加している背景には、価値観の多様化や、司法制度の活用が市民の間に浸透してきたこと等が考えられるでしょうか。当事務所の実感としても、離婚に関する悩みごとに関しては日々絶えることなく相談を頂くような状態であり、いつの世にも変わらず存在する人の悩みであるなあと思ったりしております。

 

■問題化しやすい類型
離婚に関する法律相談の中でもよく問題になり、受任しても解決が難航しがちな展開としても挙げられるのが、住宅ローンの残った不動産が夫婦共有財産となっているというケースです。

昨今は不動産の価格が高いわりに平均的な所得はさほど増加しておらず、サラリーマンの夫一人では住宅ローンの負担を支えきれなくなっている世帯が増えているように思います。そこで住宅購入の際には妻の両親が資金援助をした結果、不動産が夫婦共有名義になっているというようなケースも増えているのではないでしょうか。

こうした夫婦が離婚しようとした場合、夫婦双方が不動産の処遇に関してそれなりの意見やこだわり、発言権を持ってきますから、多額のローンが残った不動産の扱いについての方針が一致せず、売ることもローンを払うための金策を進めることもできないまま膠着状態に陥る場合が見られるのです。

また住宅ローンを組む際には連帯保証人がつきものですが、妻が住宅ローンの連帯保証人になっていたりすると、離婚しようとしても保証人の切り替えを金融機関に了承してもらうことが難しいなど、問題がさらにややこしくなってきます。さらに、妻の両親との二世帯住宅を、妻の父と夫が連帯債務者となって購入した場合などには、妻の両親も巻き込む複雑な問題となり、解決には大変な労力と時間を要することもあります。

このように、ともかく夫婦共有財産の中に不動産があるケースというものは協議が難航しがちで、どう進めるか頭の痛い状況がしばしばあるわけです。

 

■離婚事件というものの難しさと意義
不動産の問題以外にも、慰謝料や財産分与はもちろんのこと、子がいれば親権や養育費の問題が生じますし、離婚は調停前置ですから判決まで争えば解決までの時間も1年では済まないことも珍しくありません。離婚事件というものが、家事事件の中でもやや敬遠される傾向があるのは、このように多方面の調整をしなければならない弁護士側の負担が非常に重いということも一因といえるでしょう。

ただ、離婚や不動産の処分をめぐって先述のような夫婦間の膠着状態が生じてしまいますと、もはや当事者間だけで解決することは事実上不可能ではないかなと思います。感情的になってしまいがちな当事者をサポートしつつ、ともかく話を前に進めるためには、弁護士が果たす役割というものが大変に重要となってくるのです。根気よく依頼者と相手の話を聞きながら地道に交渉や期日を重ねることで、苦しみながらも解決の道筋というものが生まれてくるものと経験上感じています。

いつの世にも変わらず存在する人の悩み、と表現しましたが、離婚というものは常にニーズのある法的問題の一つであり、専門家の適切なサポートがより良い結果をもたらすことのできる分野でもあると思っています。無事に解決した後で、依頼者からその後の状況報告などを頂いたりした時には何とも嬉しい気持ちになるものです。

私にとってもまだまだ工夫の余地はありますが、案件担当中は依頼者とともに悩んだり怒ったりしつつ、依頼者にとって有意義な人生の再スタートとなるよう、試行錯誤しつつ日々努めております。
(新日本法規出版㈱ Legal Information Mail Magazine(LIMM)リーガルコラム2008年12月掲載)

 

○離婚総数(厚生労働省人口動態調査)
平成17年度 26万1917組:前年度比-3.3%(8887組減少)
平成18年度 25万7475組:前年度比-1.7%(4442組減少)
平成19年度 25万4832組:前年度比-1.0%(2643組減少)

○離婚訴訟の終局件数(最高裁判所統計。認容、却下、和解等を含む件数)
平成17年度 7680件:前年度比+109%(4021件増加)
平成18年度 9322件:前年度比+21.4%(1642件増加)
平成19年度 9593件:前年度比+2.9%(271件増加)

○調停成立数(最高裁判所統計。調停離婚、婚姻継続等を含む件数)
平成17年度 2万9871件:前年度比-2.1%(649件減少)
平成18年度 3万0178件:前年度比+1.0%(307件増加)
平成19年度 3万1625件:前年度比+4.8%(1447件増加)

カテゴリー:日々の雑感

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